鴨東幼稚園

臨床心理士・ゆかこ先生のおはなし

秋空の下、子どもたちはお外でたくさん遊び、虫たちや植物に触れ、季節を肌で感じていることでしょう。子育てをしていると、季節のうつろいや風情をより感じるようになりました。みなさま、いかがおすごしでしょうか。

「自分で!」「ひとりで!」「おてつだい!」

2.3か月ぶりに会った子どもたちは、体も顔つきも心もぐぐ~んと大きくなってびっくりしました。子どもが自ら成長する力はほんとにすごいですね。先日、たんぽぽ組でのとある出来事。リトミックの後、フープを二階に運ぶお手伝いを、こどもたちは率先してやっていた時、ある子が一つしか運べず、「もっとやりたかった~」と大泣き、しばらく泣き続けた後、担任の先生、別の物を運ぶという提案にぱっと泣き止み、他の子が一緒にしようとするのを振り切って、”ひとりで”重たそうなかごを二階まで運び、満足気に戻ってきました。まさに、3歳児の姿だなあと、ほほえましく見えていました。先生も泣いていたその子に、「ありがとう。もっとやりたかったかったんやね。」と声をかけ、代替え案を見つけ出されて、上手にさりげなく、子どもの気持ちを理解して受け止めておられました。

幼児期の子どもは、それぞれの性格などにもよりますが、大人のお手伝いや、「じぶんで!「ひとりで!」と大人の手を借りずにやりたがります。でも、まだうまくできないことも多くイライラ怒り出したり、かと思えば、一人で出来るはずの事も「ママやって~」と言ったり、成長と気持ちの間で揺れ動きながら、幼児期のテーマでもある自立心や自発性を少しずつ身につけていきます。また、ちょっと難しいことでも、失敗してでも、自分一人でやってみたい!という子どもの自立心やチャレンジ精神、好奇心の旺盛さにはおどろかされます。そして、お手伝いや役割を任されると、とても誇らしげに、そのお仕事を子どもなりに全力でがんばります。まだまだ練習段階なので失敗の方が多いくらいですが、親の方としては、ただでさえ時間の余裕がない時に、余計な手間が増えて、つい怒ったり文句を言いたくもなりますよね。けれど本人も失敗してバツが悪かったり、「おこられる」とビクビクしているかもしれないので、怒るのをぐっとこらえて、「お手伝いしようとしてくれてありがとう」「じぶんでやろうとしてえらかったね」という思いを(できれば笑顔で]伝えていただけたらいいなあ、と思います。とてもむずかしいですが。とはいえ、いつもこんなに広い心でいるのはむりなので、余裕がない時は、さっと大人がやってしまってもok。「またできるときにおねがいするね」と頼み、大人の方もその約束を守ってくださると、こどもはまたはりきってやってくれるはずです。いい子育てをとがんばりすぎないで、ちょっと肩の力を抜いて、みんなで知恵を出し合いながら、子どもの心の土台を育んでいけたらいいなと、願っています。

おまけもうひとつ、子どもがお手伝いをしたがるひみつは、「だいすきなお母さん、お父さんを喜ばせたい」「忙しそうなお母さんを助けたい」と言う思いが詰まっています。子どものいろんな行動の奥には、そんな子どものやさしさが、隠れていることがよくあります。ぜひ一度、そういう目で見て下さいね。

最新タイトル

2023/3/01
2022/10/19
2022/5/31
2022/2/17
2021/10/20