鴨東幼稚園

臨床心理士・ゆかこ先生のおはなし

幼児期に大切なこと③信頼~卒園するゆりぐみさんへ~

道を歩いていると、ふわっと沈丁花の甘い香りに春の訪れを感じます。いよいよ学年末が近づき、子どもたちの成長には驚かされるばかりで、お別れ会や卒園式の練習を見て早くも涙涙…です。

先日、ゆり組のお母様方とのお話会がありました。お忙しい中、たくさんご参加下さりありがとうございました。どのお母さんも子どもの成長をしっかり感じておられ、そのことを皆で共有することができました。「小学校に行って、またへこむこともあると思うけど、大丈夫と思える」とおっしゃったお母さん、「新しい環境に不安もあるが、なんとかなる!」とおっしゃったお母さん…これからも何かあったら、子どもと一緒に考え、一緒に泣き、時が来るのを待てばいいとみんなで話しました。この幼稚園で「待つ」ことの大切さを教わった、先生方が「ここまで待つのか」というほど待って下さった(叱らない、子どもに合わせる)と口々におっしゃっていたのが印象的でした。これから色々なことがあっても、その時に焦らずどうすればよいかが、お母さんたちにはよくわかっておられるのだなぁと頼もしい思いがしました。

「待つことができる」「大丈夫と思える」のは、子どもの持つ力を信頼しているからこそ出来ることです。子どもたちの成長も、この親御さん方、先生方との信頼関係があってこそです。日々の園生活の中で、どんなささやかなことでも、子どもの表現することをしっかりと受け取り、子どもの心に誠実に耳を傾け一緒に感じ考える、ということをいつも一生懸命にして下さっている先生方のご尽力にも改めて頭が下がります。

自分が信頼されて育った子どもは、自分自身のことも信じることができ、また人のことも信頼することができる人間に育つのではないかと思います。自分をそして人を信じることのできる力は、ここぞという時の底力になります。その力をしっかりつけて巣立っていく子どもたちに、心からのお祝いとこれからの素晴らしい未来をねがっています。

次のステップに向けてついつい親としての心配から「もうすぐ小学校(○○ぐみ)になるんやから(ちゃんとしなさい、自分でしなさい)」「そんなんしてたら小学生(○○ぐみ)になれへんよ」というような言葉が口をついて出てしまう時期かもしれません。でも、子どもは本当にえらいもので、自分でちゃんとわかっていて、黙っていてもやるべき時が来たら必ず自らちゃんとするようになります。知らず知らずのうちにプレッシャーに感じていることもあるので、なるべくその言葉は言わないで、むしろ親は子どものがんばりすぎにブレーキをかけるくらいの気持ちで、一日一日を楽しんで過ごしてくださいね。

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